著作権は、あなたが何かを創作した時に自然に発生します。
産業財産権(特許・実用新案・意匠・商標)のように登録をして得られるものではなく、例えば子どもが書いたイラストにも権利は発生しています。
あなたが創作したイラスト、商品画像、写真、文章等の創作物を著作物といいます。
単に商品を撮影するだけでも、場合によっては1つの画像を得るために100枚以上の写真を撮影し、撮影する角度や明るさ、背景を工夫するなどして作成されていることと思います。
さらに画像加工ソフトで本来の見た目の明るさや色になるよう修正したり、レンズの歪みを修正したりするなど、ただ商品を撮影しただけに見える画像にも意外に時間をかけているものです。
著作権法では「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と定義されており、模倣した作品やありふれたものは著作物から除かれますが、判例では「… 被写体の組合せ・配置,構図・カメラアングル,光線・陰影,背景等にそれなりの独自性が表れているのであるから,創作性の存在を肯定することができ,著作物性は あるものというべきである。(知財高判平18・3・29)」 として単に商品のみを撮影した写真にも著作物性を認めています。
例えばA氏が壺を紹介する時、B氏の壺を並べて見せたいと思ったらB氏に頼んで借りる事になりますが、A氏が壺の紹介資料を作成する時は、形としてはB氏の壺の写真を勝手に掲載できてしまいます。
創作者の権利は他人が無断でどうにかできないのが当然であって、画像や映像など、たとえ簡単に手に入って複製や披露までできてしまうとしても、「B氏に頼む」事が大前提です。
一方で一定の条件下での利用には著作権者の権利が及ばないことがあります。
家庭内やそれに準ずる範囲での使用、無料無報酬での演奏会、引用など多岐にわたりますが、これを著作者が喜んで使用を許可しているのではなく、残念ながら権利を制限されているんだと捉えれば、使用したい著作物があった時はひとまず抑制的に考え、それを自分で用意できないかなど検討してみる位の心構えでちょうど良いかもしれません。
著作者から見れば他人に無断で利用される理由は何一つ無いのですから。
自分で作成/自身のために作成してもらう
著作権者の許諾を得る/フリー素材の活用
特にWEBで事業を行う場合、画像等の作成は最も重要な仕事の一つですから、作りたくない、お金を払いたくない、許可も得たくない、フリー素材ではダメということなら、その情報の発信を諦めるべきです。
もしも「大した画像じゃないから無断で使おう」と思ったなら、その程度の画像は自分で作成すれば、はじめから何の問題も起きません。
軽い気持ちで行われがちな著作権侵害ですが罰則は重く、1000万円以下の罰金または10年以下の懲役(或いは併科)、法人は3億円以下の罰金となっております。
その他民事の対抗措置としては、差し止め請求、損害賠償請求、不当利得返還請求などがあります。
インターネット上に公開した画像は、どんなに苦労して作成した物でも簡単にコピーできてしまいます。
そのような場合に備えて、元画像や編集ファイル(psd、aiなど)の保管が必要になります。
またあなたが公表した著作物に発行日を登録する制度もありますので、制度を利用の際は、ホームページにアップロードした時に「ホームページを見た人による証明」をもらっておきます。
本来は創作性など考えるまでもなく、あなたが作成する画像はあなたの著作物であり、全く同じ画像を別の人も作成するなどあり得ないことですが、デッドコピー(完全又はほぼ完全なコピー)はともかくとして、あなたの著作物がトレースされたり、参考にされたりしてよく似た新たな著作物を作られる事も考えられます。
このような場合ひとたび裁判となれば、あなたの著作物がありふれた表現じゃないかとか、著作物は認めるけれど相手方のほぼ同じに見えるイラストに著作権侵害はないといった判断がなされる事もあります。
その為、誰もが「この画像にはこんな特徴がある」と理解できるに越したことはありませんので、私はいつもこうして撮影している、背景をこうしているといった説明ができる画像づくりをおすすめします。
著作権者は侵害した相手方に対し怒りに震えることでしょう。
時間をかけて創作した物を他人が発表しているのだから当然です。
ただその相手方は悪人なのでしょうか?
例として作成したデータを誤ってアップロードしてしまったのかもしれませんし、単に著作権に対する認識不足かもしれません。